ビートラック行政書士事務所 水谷です!
今回は成年後見制度の概要をわかりやすくご説明していきます!
他制度との比較で要点を抑えましょう♪
📝こんな人におススメ
- 成年後見制度について知りたい方
- 補助人について知りたい方
- 保佐人について知りたい方
- 未成年について知りたい方
📌成年後見人制度とは何か
いきなり本題ですが、
成年後見人制度とは何でしょうか。
定義からご紹介いたします。
成年後見人制度とは
「精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く状態にあり、
家庭裁判所の審判により定められた者を保護する制度」です💡
成年後見制度で守られる方(適用を受けた方)のことを、
成年被後見人と言い、
保護する側の方(責任者)を
成年後見人と言います。
成年被後見人の為した行為は、取り消すことができます💡
さて、どうでしょうか。
わかりにくいですね・・!
詳しく説明していきます👀
なお、この制度の理解を深めるためには、
類似の制度と比較することが一番の近道です💡
織り交ぜて説明していきます。
📌意思能力という制度の根幹
成年後見制度を語る上で、意思能力というワードは外すことができません!
意思能力とは「自己のなした行為の結果を判断できる精神能力」です。
自分が行った行為の結果、
どういう結果が起こるのか判断することができる能力があるかどうかが、
大きな分かれ道になります。
通常、多くの方はこの能力があるとみなされます。
よって、コンビニでパンをレジに出した際も、
「パンを買いたい」と思っているとあなた自身わかっていて、
相手もそう思って良いということです。
意思能力が欠けた状態で行われた法律行為は無効です💡
民法という日本で最も基本的な法律は、
意思が最も重要と考えていますので、
意思が無い(欠けている)行為は効果が生じないこととしました。
意思というのは、何も昏睡状態を指すものではありません。
酩酊状態とか、精神上の障害だとか、色々なケースが考えられます。
さて、この意思能力が欠けた状態。
証明できますか?
ちょっと大変そうですよね😅
例えば、後述の補助人という制度。
被補助人と呼ばれる方(保護される側の方)は、
軽度の精神障害によって家庭裁判所より審判を受けられます。
例えば、痴呆症などの場合です。
痴呆には波があり(まだら痴呆)、ご本人も調子のよいときはすべて理解されています。
では、コンビニでパンを買った際に、
(ちょうど波が来ており)「意思能力がなかった」と主張立証できますか?
かなり難しいですよね。
そこで、わざわざ意思能力がなかったんだと証明せずとも、
守るべき人は守りましょうということで、
成年後見制度他ができたわけです💡
無効にはしませんが、取り消すことができることとしました
コラム 無効と取り消し
無効とは「初めから何も効力が生じていない」状態のことです。
原則、誰にとっても、誰に対しても無効です。
取消しとは「取り消されるまでは有効として扱うが、いったん取り消されたら無効になる」行為のことです。
取り消しは不確定有効なんです。
もちろん、ある時点で取り消すことはできなくなりますが、
無効と別制度とされた理由は、
取り消しできる行為であっても、有益な行為はあるからです。
例えば、未成年者が親の同意なく、親の財布でマツタケを買ってきたとします。
国産で通常1万円するものを1,000円で買ってきました。
これ、無効にされたくないですよね。
子どもはいい仕事をしました👀
このように、一律無効にすると、不利が生じるケースもあるんです
📌類似の制度 未成年者
類似の制度その1は未成年者です。
ちょっと意外かもしれませんが、法律論としては、
未成年も成年後見制度の仲間みたいなものなんです👀
制度趣旨が共通しているんです。
未成年とは18歳未満の者を指します。(2022年4月1日より)
2022年4月1日から成人年齢が引き下げられます。
20歳から18歳になります。
未成年者が親権者の同意を得ずに行った行為は、
取り消すことができます💡
これから紹介する他の制度との大きな違いは、
年齢によって誰もが未成年者となるという点です。
いちいち家庭裁判所の審判など要りません。
🔖例外
すべての行為が取り消せるわけではありません。
例えばお小遣いで買った物や、
親が使っていいと言ってくれた場合(学費を学校の先生に渡すなど)は取り消せません。
あらかじめ親権者(通常は親)がお墨付きを与えているからです。
📌類似の制度 補助人
補助人とは
「精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分な者で、
家庭裁判所の審判により定められた者を保護する制度」です。
成年後見の場合、「不十分」ではなく「欠く」状態でした。
類似制度の中で(未成年は比較対処から除外)最も程度が軽い障害です。
補助人のなした行為も取り消すことができますが、
限られた行為についてです💡
所定の項目の中から、
「これとこれは取り消せるようにします」と選ぶんです。
日常生活をほぼほぼ普通に行える人も多いので、
訪問販売や電話勧誘など、
ちょっと危ないケースで取引してしまった際に
取り消せるようにするなどの使い方が多いでしょうか。
📌類似の制度 保佐人
保佐人とは、
「精神上の障害により事理を弁識する能力が著しく不十分な者で、
家庭裁判所の審判により定められた者を保護する制度」です。
補助人は「不十分」、成年被後見人は「欠く」でした。
後見3制度の中では、程度は真ん中に位置します。
保佐人は、法律に定められた事項のみ、取消し対象になります👀
例えば、
貸したお金(元本)を受け取る行為(利息という旨味が消えてしまいますよね)、
相続の承認(放棄しなくて良かったんですか?というケースもありますから)、
贈与(それ、大切なものなんじゃないんですか?というケースもありますよね)
などは、取消すことができるんです。
📌成年被後見人のした行為は全く効果が生じない!?
もちろんそんなことはありません💡
原則全ての行為を取り消せる(成年後見人の同意があっても)が、
一部、取消しできない行為がある、という形です。
取消しできない行為(=成年被後見人が単独で有効に法律行為可能)は、
「日用品の購入その他日常生活に関する行為」です。
お小遣いで買ったパンや、
生活に必要な物品(食材やトイレットペーパーとか)の購入は取り消せません。
このくらいは認めてあげないと過保護に過ぎます。
かえってやりにくいですし、ご本人の自由はなくなってしまいます。
コラム ノーマライゼーション
後見制度の最も重要な思想は、ノーマライゼーション、つまり残存能力の活用です。
当制度は、あくまで本人を守るための制度です。
「保護」にかこつけて、何でもかんでも取り消せる(一人ではできない)としてしまうと、
ご本人の自由(経験・お考え)を奪うことになり、逆効果になります
📌成年後見の申し立てができる人
成年後見の申し立てができる人は誰でしょうか。
もちろん、隣の家のおじさんが勝手に家庭裁判所に申し立てることはできません💡
法律は以下を規定しています。
本人、配偶者、4親等内の親族、後見人、後見監督人、検察官です。
なぜ検察官が?と思われた方も多いと思います。
実は、検察官。ちょくちょく引っ張り出されます💡
検察官は「公益の代表」なんです。
制度を使うべき場面だが当事者関係人が使わないような場合や、
そもそも使うべき人が全員いなくなってしまったケースで登場します。
国(国民)を代表して権利行使する人がいないと、
ニッチもサッチもいかない場面が出てきてしまうんです。
📌後見人は家庭裁判所が決める
成年後見人は誰がなるのでしょうか。
これは家庭裁判所が決めます💡
勝手にはなれません。
財産が多い場合は弁護士など法律の専門家がなることが多いでしょう。
複数人・法人でも構いませんので、
身辺の保護として介護福祉法人が、財産管理は弁護士がなるなどのケースがあり得ます。
もちろん、親族がなるケースもあります。
📌審判の申立ては本人の住所地の家庭裁判所
制度を活用したい場合は、
所定の申請書や書面を用意して、
ご本人の住所地を管轄する家庭裁判所に申し立てをしましょう。
受け付けられると審判がされます。
大体2週間前後で審判がおります。
📌まとめ
いかがでしたでしょうか。
多角化する世の中で、
社会的弱者への危険は増大する一方です。
そこに漬け込む悪い人が一定数いるのも事実です。
ですが、ご本人としては自分の権利が制限されてしまうという意識が強すぎるあまり、
制度を敬遠される方もいます。
制度趣旨をよく理解して有効活用されることが望まれます。
ご不明点ございましたら弊所を始め、
法律業務または介護の専門家へお問い合わせいただければと思います。