【養子縁組には条件(要件)がある!?】厳格に法定されています!!

養子

ビートラック行政書士事務所 水谷です!

今回は、養子縁組の条件について解説したいと思います♪

さて、どのような条件をクリアすれば、養子縁組が成立するのでしょうか。

📝こんな人におススメ♪

  • 養子縁組を検討されている方
  • 養子縁組の要件を知りたい方
  • どういった制度か知りたい方

📌養子縁組は厳格な手続き

養子縁組は非常に厳格な手続きです。

どういった制度なのか概要は以下ブログをご参照いただくとして、

ここでは簡単に触れていきたいと思います💡

🔖制度趣旨

まず、制度趣旨を簡単にご説明したいと思います。

大きく2つあるかなと思います。

一つ目は、「子の福祉」です。

二つ目は、「親子関係の創設」です。

個別に見ていきましょう‼

🔖子の福祉

養子縁組は「民法」という、日本で最も基本的な法律に定められています。

この民法。

子ども大好きなんです👩🏾‍🤝‍👩🏽

民法は私人間(要は人同士)の調和のための法律です💡

バランスの問題なので、弱いものを保護しないといけないという思想になります。

子どもって弱い存在ですよね。

ですから、何はともあれ、子どもを守ろうと考えるわけです。

これを、「子の福祉」などと言います。

養子縁組は、子どもに不利益が及ばないようにするために、要件が厳しくなっているんです。

なお、ここで言う「子」とは、主に未成年を指します

子といえど、成年であれば(形式的には)大人なので、

自分の身は自分で守ってね、ということになります。

偽装養子縁組なども実際はあります。

単なる相続対策や、永住ビザ取得のためなど、制度の悪用が後を絶ちません。

下手をすると人身売買にだってつながりかねません。

こうした制度の悪用を防ぐために、法律で厳しく取り扱う必要があります。

🔖親子関係の創設

こちらも養子の重要な趣旨です。

というより、多くの方の目的はこれではないでしょうか💡

基本的な親子関係は「出生」により創設されます。

養子縁組とは法定親子関係を作り出すものなんです。

成立すると、養親・養子関係が出来上がり、

養子が未成年であれば、親権も実親から養親に移ります。

親権は非常に強い権利です。

親に認めらている様々な権利の大元になっており、停止・喪失は簡単には認められません。

養子縁組とは、そのような強い権利すらも移譲してしまう、すごい制度なんです

📌養子縁組の成立要件

本題に入りましょう。

先に述べたような趣旨を受けて、各種条件が定められています。

個別の条件の前に、まずは成立要件を見ていきます👀

1.届出をすること

2.縁組の意思を有すること

3.条件を満たすこと

届出については、養子縁組は、

茶の間で「私と太郎君は今日から親子になります!」と宣言しても無意味で、

届出が必要ということです💡

届出をした時から親子関係が始まります。

縁組の意思については、

「嘘はだめよ」ということです。

積極的なウソ以外にも、制度趣旨に反するよね、というものもダメです。

ただただ、相続対策のために縁組しよう(相続分は渡さないよ、など)というのは

危ない考え方です。

養子縁組は「子の福祉」のための制度であって、

税金対策が目的の制度ではありません💡

※判例は、もっぱら相続税の節税のための養子縁組であっても直ちに無効になるわけではない」

としています。

無効にされる可能性があるということです。

条件については、さらに細かく分かれますので、

次章で見ていきましょう👀!!

📌養子縁組の条件

では、養子縁組の条件を見ていきましょう。

かなり細かいところもありますが、

「子の福祉」という視点を忘れずに覚えておいてください。

その他、「社会的にダメでしょ」、という視点も入ってきます。

🔖養子縁組の条件その1 「養親の年齢」

養親となるものは成年である必要があります

養親自身が未成年の場合、養親の親権を、養親の親が行使することになります。

つまり、

自身も誰かの親権の下にあるのに、他人の親権を握れるわけないでしょう、ということです。

親権を持たれているということは、

社会を生き抜いていくには未成熟な存在だからです。

守られている立場の人が、誰かを守っていくのは形式的には無理があります。

🔖養子縁組の条件その1 「尊属・年長者養子」

①年上を養子とすることはできません。

ですので、近所の年上のお兄ちゃんを養子にすることはできません。

また、

②自分より家系図上の上位にいる人を養子とすることはできません

おじいちゃんを養子にするのは無理ということです。

①以外に②もあるのは、

年は下だけど、家系図上上位ということもあるからです。

以下の図の例で言いますと、

一郎は春一の叔父です。家系図上、上位にいます。

ですが、年下です。

②の縛りがないと、

甥が叔父を子どもにできてしまうということです。

これは変ですよね。

🔖養子縁組の条件その2 「後見人・被後見人の間柄」

少々聞きなじみがないかもしれません。

後見制度の話です💡

被後見人といって、精神上の障害がある方がいます。

一般取引社会に一人で出してしまうと、

「悪い人に騙されたり、事故にあう可能性があるので、保護しましょう~💡」という制度です。

保護する側を後見人と言い、弁護士、司法書士、行政書士などの法律の専門家や、

社会福祉法人など福祉のプロがなったりします。

ご家族がなることもあります。

つまり、特殊な関係なので、養子縁組制度が悪用されるのでは?

という疑いをかけられているということです。

ご家族ならまだしも、

縁もゆかりもない行政書士が、「私の子どもとして縁組します」と届出したらどうでしょう。

怪しくないでしょうか。

財産狙いの匂いがしてきます。。

そこで、法律は、

ダメではないが、家庭裁判所の許可制とする」と定めました💡

まあ、妥当な結論でしょう。

なんせ、「子の福祉」が一番大切ですから、きっちり第三者を入れないとマズそうです。

コラム 生まれながらのお金持ち

世の中生まれながらのお金持ちはいます。

つまり、お金持ちの家に生まれた子どもですね。

さて、相続に絡むお話ですが、

両親が100億円の遺産を残して亡くなりました。

子どもは太郎君(仮に3歳)一人です。

この場合、財産の全ては太郎君に行きます。

ですが、3歳なので何が何だかわかっていません。当然親権が必要になります。

こういう時に、簡単に養子縁組を認めるとマズいですよね。

少し例を変えまして、太郎君が25歳で、成年被後見人の場合どうでしょうか。

成年後見人として、行政書士がついていたとします。

行政書士がその状況で「私が養親になります」と言い出すわけですから、

ちょっと大丈夫か不安になります。

行政書士だからではなく、

問題は、成年被後見人は成年後見人の言いなりになりがちだからということです。

(定義上は、事理弁識能力がないわけですから、意思がはっきりしない方もいらっしゃいます)

果たして本当に太郎君のためなのか。

それを家庭裁判所がチェックするんです。

🔖養子縁組の条件その3 「未成年養子」

未成年者を養子とする場合は、家庭裁判所の許可が必要です。

子の福祉のため、特に未成年保護の為の制度ですので、当然といえば当然です。

これには例外があります💡

養親が自己または配偶者の直系卑属を養子とする場合です。

この場合は、家庭裁判所の許可はいりません

直系卑属であれば、ちゃんと育てるだろうと判断したわけです。

直系卑属とは、家系図の下、それも一直線に下の者のことです。

家系図の下なので、子ども、孫、甥っ子姪っ子などです。

一直線に下なので、子ども、孫などです。

甥っ子姪っ子は、兄弟の子供なので、

自分と横並びの列の卑属です。これを「傍系」と言います。

🔖養子縁組の条件その4 「配偶者のある者が縁組をする場合の条件」

配偶者のある者、つまり結婚されている方が未成年者を養子縁組をしようとする場合は、

特有の条件が付きます。

それは、夫婦共同縁組(夫婦が共に養子縁組をしないといけない)です。

発想は、やはり子の福祉です。

片親だから子の福祉にかなわないというわけではありませんし、

この決まり自体、厳格にしすぎるのは、個人的にはちょっとどうかなと思いますが、

一応そういうルールなので、以下ご説明します。

この場合、夫Aと妻Bが揃って、子Cと養子縁組する必要があります。

法律は、二親揃って子どもを育てたいと考えているわけです。

判例で特別なケースの例外は認められているものの、

基本、このルールに反して夫Aだけ、妻Bとだけ縁組をしても、

その縁組自体が無効になります。

なお、この条件には例外が2つあります💡。

一つ目は、夫婦の一方が他方の嫡出子を養子とする場合は

その他方の同意があれば大丈夫です。

養子縁組をすると、子は嫡出子の身分を取得しますが、

その子がすでに妻Bの嫡出子である場合、改めて嫡出子の立場を与える必要がないからです。

嫡出子とは、婚姻関係にある男女から生まれた子のことです。

先の説明に沿うと、

妻Bの連れ子(元夫Dとの子ども)と、夫Aが養子縁組する場合です。

二つ目は、配偶者が意思表示できない場合です。

この場合、仕方がありません。

そもそも養子縁組できないとするか、配偶者は除外して考えるか、

どちらが子の福祉に適うかが論点です。

法律は後者を取りました。

🔖養子縁組の条件その5 「成年者と縁組をする場合の条件」

成年者を養子とする場合は、特有の条件が付きます。

原則、配偶者のある者であっても単独で縁組は可能なのです。

ですが、縁組をしない他方配偶者の同意が必要です。

これは、相続分が変わるからです。

相続には順位があり、同順位者が複数いればその分、取り分が減ります。

以下をご参照ください。

勝手に養子縁組をされて、相続分が減ってしまうのは困るでしょう。

これには2つ例外があります。

一つ目は、配偶者と共に縁組をする場合です。

これは、同意を包含しているようなものです。

相続分が減ることを納得しているので、改めて同意はいりません。

二つ目は、配偶者が意思表示できない場合です。

意思表示できないのであれば仕方ありません。

条件4と同じ理由です。

コラム 意思表示できない場合とは

意思表示できないとは、何も意識不明の場合に限りません。

行方不明の場合もそうです。

スジとしては意思表示できないなら無視していいや、というわけにはいかないので、

あえて条文で明文化しているのです。

📌まとめ

いかがでしたでしょうか。

養子縁組は厳格な仕組みであることをお分かりいただけたかと思います。

ですが、子の福祉のためにも緩い基準は適当ではありません。

養子縁組を検討されている方は、前向きにお考えいただければと思います。

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