ビートラック行政書士事務所 水谷です!
今回は養子縁組制度について、その概要をご説明したいと思います♪
相続にも影響するこの制度。
どのような内容なのでしょうか?
📝こんな人におすすめ
- 養子縁組を検討されている方
- 養子縁組制度について知りたい方
- 相続への影響が知りたい方
📌養子縁組とはどのような制度なのか
養子という言葉を聞いたことがある方も少なくないと思います。
養子・養子縁組とはどういったものなのでしょうか。
※ここでは、一般的によく使われる「普通養子縁組」について解説していきます。
🔖親子関係の創設
養子縁組の効果は条文に書いてあります💡
・・よくわからん、という感じですね。
簡単に言うと、
法律上、
他人の子をあたかも実の子の様な取り扱いをする制度・そのような関係を創設する制度です💡
嫡出子の身分を取得するので、
お父さん・お母さんの実子と同じ権利が生まれますし、
実親(養子の実の親)の親権も消滅します。
結構強い権利なんです💡
親権を行使するのは原則「親」です。
養子の場合、法律で親を作り出しますので、実親と養親がカブってしまいます。
そこで、実親の親権を消滅させて、養親に一本化するんです。
親権を行使するものが複数いたら、子の福祉(子のため)にならないからです💡
何をするにも養親と実親の許可がいるとなると、鉛筆一本買えません。。
なお、養子縁組が解消すると、実親の親権が復活します!
コラム 嫡出子
嫡出子とは、婚姻関係にある男女から生まれた子のことです💡
対立概念は、非嫡出子です。
嫡出子は世の中で一番多い形なので、いってみれば、大体嫡出子です。
非嫡出子は、内縁の子とかです。
要するに未婚の男女の子です。
お母さんは、その子の母であることが出産により明らかなので良いですが、
お父さんは、認知をしないとその子の親になりません💡
「この子は私(男性)の子どもです」と認めたことを届け出るんです。
昨今、婚姻しないパートナー関係を選択される方も増えています。
🔖親族との関係
父母と子の関係についてはわかりましたね。
では、親族関係はどうなるのでしょうか?
こちらもまずは条文を見てみましょう♪
・・こちらもわかるようなわからんような、という感じでしょうか。
条文の句読点がないからわかりにくいんだと思います。
以下であればどうでしょう。
「養子と、養親及びその血族との関係」。
すなわち、この条文は、「養子」と「養親&養親の血族」の関係を言っています。
それが、血族と同じ親族関係になると言うのです。
つまり、養子縁組とは、養子だけを取り込む制度なんです💡
「養親」と、「養子の親族」には何の関係も生じません。
養子縁組をすると、養子と、養親の実の父・兄弟などとはいわゆる親戚関係になるんです。
📌どうすれば養子縁組ができる?
養子縁組は届出によって効果が生じます。
これを「創設的届出」と言います。
つまり、宣言したり、当事者間で書面を交わすだけでは無意味で、
戸籍法の定めに従って、役所に届け出る必要があるんです💡
相続は戸籍に従って行います💡
戸籍に記載がない場合、相続からは基本、無視されます。
養子縁組をすると、制度上、後述の通り相続権が発生するため、
「ちゃんと戸籍に記載しておこうね」、ということになるんです。
コラム 届け出
前述の通り、養子縁組は創設的届出です。
他には婚姻・協議離婚なども創設的届出に分類します。
反対概念は報告的届出です💡
こちらは結果報告ですので、効果はもっと前に生じています。
例えば、出生届です。
別に、届け出たときに生まれたのではなく、既に生まれており、後付けで届け出るだけです。
その他、死亡届・調停離婚・調停離縁などもそうです。
ちなみに、協議離婚は創設的届出ですが、調停離婚は報告的届出です。
これは、調停で離婚が決まったのに、届け出なければ不成立としてしまうと、
離婚したくない方が妨害するとか、出し忘れてしまうとか色々問題がでそうですよね。
法律の実質的な理由としては、裁判もそうですが、
判決や調停で合意した瞬間に「意思表示」をしたこととなるためです。
📌相続への影響
養子縁組は相続に影響します💡
前述の通り、子どもを増やす制度だからです。
相続には相続順と呼ばれるものがあり、
相続が発生(人が亡くなる)すると、財産が相続人に移転します。
第一順位は、子なんです。(妻は常に相続人です)
子が複数いれば、原則等しく按分となりますので、
妻A、実子Bであれば、それぞれ2分の1ずつ相続権があったのに、
妻A、実子B、養子Cであれば、妻A4分の2,実子B4分の1、養子C4分の1となります。
実子Bの取り分が減りました。
このように、相続分に影響が出るんです。
📌養子縁組の活用シーンあれこれ
養子縁組の活用シーンを見ていきましょう💡
🔖子が欲しい
これが一番代表的でしょうか。
お子さんがいらっしゃらない家庭に迎え入れる場合などです。
様々な局面があるでしょうが、
非常に良い制度だなと思います😄
ですが、残念ながら、養子への虐待のニュースもたまに聞きます。
理由はともあれ最低の行為ですね。
縁組という名の通り、何かの縁です。子どもを大切にしてほしいものです。
🔖家を残す
歴史のある家ではたまに行います。
例えば、本家の山田家に子どもがおらず、分家の鈴木家は3兄弟がいる場合を例に挙げましょう。
今は本家、分家などという風習は少ないかもしれませんが、
私の田舎では今もあります。
このままでは本家山田の姓が途絶えてしまいますので、
鈴木家から一人、山田家に養子に出します。
養子は養親の氏(苗字)を称するというルールがありますので、
実際の血のつながりがある鈴木なにがしさんが、山田の名を残すことになります。
🔖相続分を増やす
なかなかテクニカルですが、相続分を増やすこともできます。
代襲相続という相続形態が関係をする例を挙げます。
代襲相続とは、相続人がすでに亡くなっている場合に、
その亡くなった者の相続人が代わって相続人になる制度です。
わかりにくいので例を挙げます。
父A、息子B、息子C、息子D、息子Cの息子Eがいたとしましょう。
ここで父Aが無くなると、相続人はB、C、Dになります。
ところが、相続には「同時存在の原則」があるため、
相続開始時に生きていないと相続できないというルールがあります。
Aがなくなった際に、先にBが無くなっていると、Bは相続人になりません💡
この場合、CとDの二人で相続します。
さて、代襲相続ですが、仮に亡くなっていたのがBではなく、Cの場合はどうでしょう。
先ほどの理屈でいえば、Aの相続人は、今生きている、BとDになるはずです。
ところが、Cには息子Eがいます。
この時、EがあたかもCの代わりになるかのように、相続人として昇格するのです。
よってこのシーンでは、B、D、E(Cを代襲)の3名が相続人となり、
3分の1ずつ相続します。
だいぶ前置きが長くなりましたが、
次の時系列の場合、なんとEの相続分が増えます
①AとEが養子縁組をする
②Cが死亡する
③Aが死亡する
代襲相続と養子縁組の合わせ技が発動します。
まず、EはCを代襲しますよね。
ですが、養子縁組をしているので、EはAの息子(養子)でもあるわけです。
つまり、
自分が息子としての立場で相続+Cの代襲としての相続のダブルで相続権を取得するのです。
息子B、息子D、息子E、息子Cの代襲相続人Eの4者が相続人ですので、
Eは4分の1+4分の1で、2分の1相続することができます。
🔖節税対策
こちらも活用シーンが多いかもしれません。
養子は相続に関係します。
相続は相続税に関係するので、養子は相続税に関係すると言えます。
基礎控除額が増えるからです💡
税法上、養子を増やしても限度がありますので注意しましょう。
ですが、制度の悪用をする者が一定するいますので、
例えば、相続開始直前(お亡くなりになりかけている)に養子縁組をしたとします。
節税のためだけですので、遺産を引き継がせるつもりはないとします。
このような場合は、養子制度の本来の目的と逸脱している(単なる税金のがれ)ので、
基礎控除を受けられない可能性があります。
また、養子縁組自体、実質嘘と判断されると、公正証書原本不実記載罪などにもあたりえるので、
嘘の届出は、絶対に行わないようにしましょう✖
📌まとめ
いかがでしたでしょうか。
養子縁組とは古くからある手法ですが、
ひも解くと非常にテクニカルなものです。
利用方法は様々ですが、子に与える影響が非常に大きいため、
特に未成年の子と養子にとる場合は、
その子の福祉・利益を最優先で考えていただきたいなと思います