ビートラック行政書士事務所 水谷です!
今回はお身内がおにはなりになった場合、
承継できない財産として、どのようなものがあるか解説していきます♪
📝こんな人におススメ
- 相続についてお困りの方
- お身内が亡くなられて保険金、死亡退職金が発生している方
- その他、相続財産について知りたい方
📌相続の基本
相続とは何でしょうか。
別ブログでも記載してありますので、ここでは概要にとどめたいと思いますが、
相続の法的性質は「包括承継」です💡
相続は人の死亡によって発生します。
人は生まれると権利義務といって、
権利を手に入れることができる地位と、義務を受ける地位を手に入れますが、
死亡することで両方失います。
すると、せっかく持っていた財産を持ち続けることができなくなるため、
相続によって、相続人に権利義務の一切を自動的に受け渡すこととしたのです。
これが包括承継の意味です💡
📌相続放棄という制度
さて、人がなくなると相続人に被相続人(亡くなった方)の財産等が
瞬時に移転することはわかりました。
ですが、義務も引き継ぐので、借金も瞬時に移転してきます。
1億円を借りたのはお父さんであっても、
お父さんが亡くなると、
「奥さん・子どもが」1億円を借りたのと同じ状態になります。
よって、借金取りに返せと迫られたら返済しないといけません💡
これは嫌ですよね。
10億円の預金があって、1億円返すならわかりますが、
預金その他財産をかき集めても1,000万円しかなければ、
残9,000万円返さなくてはなりません。
そこで、相続放棄という制度があります👀
格差の遺伝は好ましくありませんので、
ちゃんとマイナス財産から逃れる方法が用意されています。
ですが、相続放棄はそうそう都合のいいものではありません💡
手続きをすると、プラスの財産すら受け取れなくなるからです。
「1億円の借金は放棄して、高級マンションは相続します」というわけにはいきません
限定承認という手続きもありますが、
それでも、相続する財産を選べるわけではありません。
格差の遺伝は確かに好ましくないでしょうが、
相続人に都合がよすぎる制度にすると、
お金を貸した側は元より、取引社会全体がおかしくなってしまいます。
📌相続財産に含まれない財産
一切合切が相続人に瞬時に移転するのが相続というものですが、
例外があります。
また、紛らわしい財産もあります。
それらをご説明していきます😃
🔖一身専属権
被相続人の一身に専属した権利は引き継がれません💡
一身専属とは、「その人専用」という意味です。
例えば、以下のようなものです
扶養請求権
親族関係が生じると、一定の範囲でお互いを扶養する義務が生じます。
ですが、この扶養請求権は一身専属権とされています!
「俺を扶養してくれー」という権利だからです。
具体的には、親は未成年の子に対して扶養する義務がありますので、
子からすると「俺を扶養してくれー」という権利があります。
また、夫婦の一方から他方へも扶養義務がありますので、
例えば奥さんからすると「私を扶養してちょうだいー」と言えます。
扶養請求権は、「近しい間柄であれば助け合って生きていけ」という趣旨です。
ですが、属人的ですので相続に適しません。
生活保護受給権
こちらも属人的な権利です。
よって相続されません💡
お父さんが生活保護を受けていたとして、それはなぜかというと、
「お父さんを」保護するためです。
これが相続されるとすると、
例えば、比較的普通に生活ができているお子さんに生活保護費の請求権が渡ることになります。
どう考えても変ですよね。
生活保護が必要かどうかは、「人ごと」で判断すべきだからです
組合員の地位
組合という組織をご存じかと思います。
農業協同組合とか聞いたことがありますよね。
組合員の地位は、一身専属的です。
契約に「組合員が死亡した場合、その地位が相続人に承継される」などと書いていなければ、
死亡と同時に契約終了となります。
後述コラムのように、組合は人の集まりです。
いろんな人が目的(志)を同じくして一致団結しているわけです。
いかに奥さん・子どもと言えど、そのような人間関係を引き継げるでしょうか。
話した事すらないでしょうから、普通は無理ですよね。
コラム 組合とは
組合とは、二人以上の人が、契約をもって同一目的達成のために活動することです。
農業協同組合のような例外はありますが、
基本的に法人格がない(株式会社とか、合同会社などという冠がない)ので、
単なる人の集まりである点が特徴です。
人の塊に法人格を与えるか(あたかも人として扱う)、
単に人がたくさんいるととらえるかは、
様々な局面で違いを表します。
組合は個人責任が生じるので、事業をされたい方は、
特殊な事情がない限り、株式会社等の設立をお勧めします。
使用貸借契約の借主の地位
難しい言葉かもしれませんが、
簡単に言うと、
皆さんも、タダで貸し借りをすることがあると思います。DVDとか、自転車とか、ありますよね。
その「借りた側の地位」は相続されません💡
つまり、AさんがBさんに自転車を貸しました。
Bさんが亡くなり、親のCさんが相続人となりました
(奥さん・子どもがいなければ、親が相続人です)。
Cさんが「自転車タダで使えてラッキー」となりました。
・・ちょっとこれは変じゃないでしょうか。
AさんはBさんと「仲が良い」(信頼関係がある)から、大切な自転車を「タダ」で貸したんです。
Bさんが亡くなった瞬間、会ったこともないCさんが、
「この自転車は息子が借りたものだが、相続したので俺もこのまま使わせてもらう」
と言ってくるわけです。
法律もこれはおかしいと考えました。
そこで、AさんとBさんの信頼関係は、一身専属的な関係なので、
相続にはふさわしくないとしたわけです。
雇用契約上の地位
これは理解が容易と思います。
つまり、会社員としての立場です。
Aさんは、ビート株式会社の課長さんです。会社員です。
亡くなった瞬間、5歳の息子が課長席に座って業務を・・・。
これは無理ですよね。
雇用契約は、その人の能力を加味して締結されます。
お父さんがITのプロフェッショナルだとしても、息子さんはPCすら持っていないかもしれません。
相続に馴染まないんです。
委任関係・代理関係の地位
あまり、日常生活で意識することは少ないかもしれません。
日本には委任という制度があり、日常生活を円滑に進めるために重要な役割を担っています。
例えば、あなたがお役所に住民票を取りに行かなくてはなりません。
ですが、前日に両足を骨折してしまい、とても行けそうにありません。
このような時に、奥さんに「悪いけど代わりに行って、住民票もらってきてくれない?」
というのが委任です。
役所のフォーマットに委任状欄があるかと思います(もしくは別紙)。
委任・代理の地位(お願いした側・された側)は一身専属的な権利です。
実例は様々ですが、
先ほどの例、信頼しているから奥さんにお願いしたわけですよね?
相続されると危なっかしいと思いませんか?
信頼していない人が住民票を取得できてしまうことになります。
法律は、委任・代理制度はとても重要だと考えています。
使いにくい制度(信頼されない危なっかしい制度)にしてしまうと、
誰も安心して使えなくなるので、全身複雑骨折していようが、自分で取りに行く羽目になります。
これを良しとしなかったわけです。
📌紛らわしい例
相続財産なのかどうか紛らわしい例もありますので、
以下ご説明したいと思います💡
🔖生命保険金請求権
生命保険金の受取人が誰になっているかにより結論が変わります💡
被相続人(お亡くなりになられた方)自身が受取人に指定されている場合
相続財産に含まれます。
つまり、相続放棄をすると受け取ることができません。
通常、相続放棄について理解をしている方は、専門家を除いておりませんので、
受取人を指定する際は非常に注意が必要です
特定の相続人を受取人として指定されている場合
相続財産に含まれません。
よって、指定された人の専属財産となります。
こうした契約を「第三者のためにする契約」と言います。
A「私が亡くなったら、息子のCのために、保険金を支払ってくれ」
B保険会社「かしこまりました」
という構図です。
Aの死亡をきっかけに動き出す契約(⇔相続)なんです。
つまり、相続放棄をしても保険金を受け取ることが可能です。
受取人の指定が、単に「相続人」となっている場合
相続財産に含まれません。
「相続人のためにする」契約だからです。
よって相続放棄をしても受け取ることが可能です。
ただし、具体的な割合の指定がなければ、
相続割合に応じて取得することになります。
🔖死亡退職金
相続財産に含まれません。
よって相続放棄をしても受け取ることができます。
死亡退職金制度は、遺族の生活保障のための制度ですから、
死亡退職金は、「遺族」のお金なんです。
お亡くなりになられた方のお金ではないので、相続財産ではないという理屈です。
📌まとめ
以上、いかがでしたでしょうか。
原則をきちっと抑えていただければ、
例外(相続財産に含まれない財産)の理解も進むと思います。
相続の多くは突然発生します。
相続財産に関してお困りの際は、当ブログをご参照の上、
理解を深めていただければと思います。