ビートラック行政書士事務所 水谷です!
今回は扶養義務の範囲について解説していきます♪
📝こんな人におススメ
- 法律上の扶養義務の範囲を知りたい方
- 扶養義務の内容を知りたい方
- 扶養に関する基本的な知識を習得したい方
- 親等の数え方を知りたい方
📌扶養とは何か
さて、扶養とは何なのでしょうか。
扶養とは、
法律によって定められた一定の範囲の親族が、
生活に困窮している他の親族を経済的に援助することです。
どういった趣旨の制度なのかといいますと、
まず、日本は原則「自分は自分、他人は他人」です💡
親子・夫婦・親友など全く関係ない、というのが考え方のスタートです!
そのため、Aさんが1億円の借金を背負っても、
お子さんが支払う義務は生じませんし(相続が例外)、
親友のB君が買ったベンツは、B君のものであってあなたのものではありません。
C君が稼いだお給料はC君のものです。
資本主義ですし、個人責任が原則なんです。
では、この原則を貫くとどうなるでしょうか👀
力の強いものが勝ち、失敗したものは自分の力だけで再起しないといけなくなります。
事業に失敗したなど、攻めの姿勢の方のみならず、
病気・けが・障害などにより、
社会的に弱い立場の人も大勢います。
頑張った者が勝つ!という平等なルールを敷くと、
かえって不平等を産むこともあるのです。
法律は、意外と思われるかもしれませんが、
実は「魂」が込められています✨
立法者は「それではいかん」と思ったわけです。
原則は大事だが、貫くと、殺伐とした世の中が出来上がってしまい、
かえって不自由を生じるからです😣
そこで、無制限に助け合いを義務化することはできないが、
一定の近しい範囲にあるもの(≒親族)には、助け合いの義務を課そう、としたわけです💡
コラム 裏?事情
殺伐とした世の中は困るよねーという事情と書きましたが、
裏?事情もあります💡
それは財政問題です。
立法者は経済のことまで考えています👀
以下流れは「日本全体の財政の問題として」マズイと思ったわけです。
それは
・生活が困窮する→生活保護受給者が増える→財政を圧迫する
です😥
お金がないと助けられないですが、
税金でまかなわれている以上、財源も限界があります。
そこで、
・生活が困窮する→親族が助ける→(無理であれば)生活保護で助ける
という流れを組んだのです。
📌扶養義務者&親等の数え方
条文に明記されています💡
1項・2項に範囲が示されています👀
1項:直系血族及び兄弟姉妹
まず直系血族からご説明します。
これは家系図を思い出してください。
あなたから見た「縦一列」のことです💡
曾祖父・曾祖母・孫・ひ孫なども、あなたの直系です。
1項は、この範囲について、互いに扶養の義務を負うとしています。
兄弟は傍系血族といい、1項からは除かれています。
(そんなことはないと思いますが)兄弟は他人の始まりと覚えてください・・😓
なお、夫婦は法律上も特別(異質)な存在として、規定してあり、
そもそも婚姻費用の分担義務(結婚生活を送るうえで当たり前に助け合いなさい)があります💡
2項:3親等内の親族
1項が原則です。
ですが、縦一列だけでは心もとないということで、
傍系にも範囲を広げます。
例外になるため、特別の事情+家庭裁判所の許可という合わせ技1本で義務を課します。
ちょっと難しいですが、順を追っていきましょう💡
まず「親族」とは何か?ですが、
6親等内の血族、3親等内の姻族、配偶者を指します。
親等とは、あなたからみて、一つ移動すれば1親等です。
先の図でいえば、父、母、長女、次女は1親等です。
傍系は、いったん共通の人までさかのぼるカウントの仕方なので、
父・母→祖父・祖母→叔父というルートになります。
そこで、父母でカウント1、祖父祖母でカウント2、叔父でカウント3なので、
あなたから見て叔父は「傍系」「3親等」となります。
姻族とは、
配偶者の親族、親族の配偶者です💡
禅問答みたいですが、
要するに、あなたの奥さんの親族と、
あなたの親族の奥さん・旦那さんです。
2項は、「親族」と呼ばれるグループの中でも、特に「3親等内」の親族が
扶養義務を負うことがある、と言っています。
先の図でいえば、あなたと叔父は扶養義務を負う可能性がありますが、
(図にはないですが)従妹は負いません。
常識的にも、いとこが他方のいとこに金銭的援助をするのは考えにくいですよね💡
コラム 特別の事情
特別の事情は中々認められにくいでしょう。
元々長きにわたり扶養を受けていたなどでしょうか。
なお、2項は例外ですと説明しましたが、
1項に該当する人がいない場合に適用されるわけではありません👀
特別な事情があり、2項該当者の方がふさわしければ、
1項を無視して2項適用になります。
📌扶養義務者になる順番
同順位者の間での具体的な順番や負担割合については、
まずは協議で定めます。
いきなり裁判所に行くことはできません💡
協議ができない場合や、まとまらない場合は裁判所のお出ましです。
扶養請求調停事件の申し立てを行いましょう。
家庭裁判所の審判によって決定されます。
📌第三者が引き取って扶養してくれていたら?
ここでいう第三者とは、扶養義務を負っていない者全般を指します。
赤の他人でなくても、いとこなども当たります。
この場合、扶養にかかる費用を第三者が捻出しましたので、
本来扶養義務を負っている者たちに、「費用を返してくれ」と請求することができます。
(👆地裁の判決ですが)
勝手に払っておきながら!と思われるかもしれませんが、
事務管理といって、
義務はないが、本人のためになることをした場合、
その費用を返してもらえるという規定があるのです😕
例えば、交通事故の被害者を救済したような場合がわかりやすいでしょうか。
費用も返してもらないのであれば、
「お金が無くなるのは嫌なので助けない」となりかねません。
不要の義務と同じく、相互扶助の精神を元とした規定です👐
📌扶養の余裕がない場合
最後に扶養の余裕がない場合どうするか、です。
金銭的に、自分の生計を立てるだけで精一杯であったり、
高齢者の介護を伴う場合など、
法律的には助け合う義務があっても、現実的には難しいケースも多々あります😮
このような場合は、
前述のように家庭裁判所の審判を仰ぎ、親族で協力するのも良いでしょう。
その他、行政に積極的に相談してみてほしいと思います。
よくあるケースとして、
行政に確認をせず、責任感で扶養を行い、
自らの生活や心身を壊してしまうことがあります。
助けを求めることは恥ずかしいことでも、いけないことでもありません😄
そのために税を徴収し、制度を整え、
社会全体で、社会的弱者を守る整備をしているのです。
むしろ積極活用は権利といえますので、所管に確認しましょう😀
扶養される側のお気持ちも大事です。
家族に無理をしてほしくないとお思いの方も多いはずですので、
中長期的に、一番良い方法を選びましょう
あまりあっては欲しくないですが、
行政と思うように連携できないケースや、
その他、何から手を付ければよいかわかないケースは、
弁護士、司法書士、そして我々行政書士などの法の専門家にお問い合わせください。
良いアドバイスを得ることができると思います💡