不在者財産管理人とは

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■不在者財産管理人の制度趣旨

不在者財産管理人について説明していきたいと思います。

まず、言葉を分解してみましょう。一定程度答えが見えてきます。

“不在者”の”財産”を”管理”する”人”です。

そのままですね。。

ですが、法律上の言葉なので、一つ一つに意味があります。さらに深堀していきましょう。

“不在者”の定義

不在者とは、従来の住所または居所を去ったものをいいます。

どこにいるかわからないわけです。

寅さんと同じですね。

“管理”とは何か

日常の言葉での管理をイメージしていただけると大体OKです。

肝心なのは、”処分”してしまったら管理ではないよね、ということです。

法律では、よく、保存行為・管理行為・処分行為は3セットで説明されます。

保存行為とは、価値を維持する行為です。

管理行為とは、物の性質を変えない範囲での利用改良行為です。

なお、利用行為とは財産を基に収益を得る行為(例:預金)、

改良行為とは価値を増加させる行為(例:家屋にインフラを整えるなど)です。

処分行為は財産を失う又はその恐れのある行為ですので、売買や抵当権の設定などが当たります。

不在者財産管理人とは何か

上記の分解からお分かりの通り、簡単に言いますと、

元々住んでいた場所(居た場所)からいなくなってしまった人の財産を(放置しておくと色々不都合があるので)、

その人に代わって管理(売ったり担保に差し出したりはしません)する人のことです。

不在者財産管理人の要件

不在者財産管理人の選任要件は以下の通りです。

・不在者本人が財産管理人を置かなかったとき

・財産管理人の権限が消滅したとき

この場合に、利害関係人または検察官が家庭裁判所に選任を請求することができます。

ちなみに、なぜ検察官が登場するかという点については、

検察官は公益の代表という側面があるからです。

利害関係人に限ってしまうと、利害関係人がそもそもいない、いても動き出さないケースなどが想定されます。

その場合に、国が全く手出しできないとすると、公益が損なわれる状態を放置することとなります。

これはまずかろうという判断が立法者にあったわけです。

不在者が財産管理人を置いていた場合の改任

不在者が財産管理人を置いていた場合、改任できるのでしょうか。

原則、改任はできません。

私的自治の原則がありますので、これは当然です。

自分が望んでいないのに自分の財産関係に口を出させることを認めるとすると、時代の逆行です。

ですが、原則なので例外も存在します。

その例外として、不在者の生死が不明の場合があげられます。

この場合、改任が認められます。

では、なぜ生死不明の場合に限られるのでしょうか。

生きている場合は、原則通り、”勝手に変えてはいけないから”です。

自分が”信頼のおけるAさんに家の留守を任せたい”として旅立っていったのに、

家族が勝手にAさんではなく、自分たちに都合のいいBさんに変えて言いわけがありません。

民法上、夫婦・家族といえど財産は個人個人のもので、口出し無用です。

では死亡が明らかな場合はどうでしょうか。

これは、死者に代理・管理人が観念できないからです。

代理にフォーカスすると、代理の効果は”直接本人に帰属”します。私的自治の拡張なのです。

ところが、権利義務の主体となることができるのは、生きている人だけです。

権利義務の終期は死亡なんです。

つまり、死者は権利も得られなければ義務もかせられないので、代理人が何をしようと死者に反映できません。

そもそも、代理契約すらできません。

ですので、”生死不明”に限られるわけです。

まとめ

財産というのは原則、他人が口出しできないルールとなっています。

ところが、人生色々というわけで、様々な事情で管理が行われていない財産も存在します。

もちろん残された人たちもそうですし、社会全体としても放置における損失は大きいといえます。

民法は大改正があったものの、骨子となる部分は明治時代からのものです。

そう考えると、今も昔も同じ問題を抱えていたのかもしれませんね。

弊所では法律の趣旨を十分に理解し、業務にあたることを心がけております。

必要に応じて他士業と協力し、市民生活を下支えできればと思いますので、

お困りの際は、お気軽にお声掛け下さいませ。

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