ビートラック行政書士事務所 水谷です!
今回は養子縁組の解消方法をご説明いたします!
果たして一方的な解消などはできるものなのでしょうか?
普通養子縁組について、ご説明していきます♪
📝こんな人におススメ
- 養子縁組の解消を検討されている方
- 養子縁組の解消を申し込まれている方
- 養子縁組について調べている方
- 養子縁組の取消しとはどういう場合にできるか知りたい方
📌養子縁組の解消方法
普通養子縁組の解消方法は3つあります💡
一つ目は「協議離縁」
二つ目は「死後離縁」
最後は「裁判離縁」です💡
コラム 養子縁組の種類
養子縁組には普通養子縁組以外に、特別養子縁組という種類があります。
特別養子縁組は、
「実親族との関係を終了させるもの」です。
かなり強力な制度です。
普通養子縁組は親子の縁は切れません💡
親権は養親に移りますが、相続権がなくなるわけではありません。
ですが、特別養子縁組は相続権がなくなりますし、
戸籍上も「わかりにくく」してあります。
特別養子縁組は孤児や虐待などを受けている、
とてもかわいそうな状況にある子ども向けでもあるので、
上記のような差異があるのです💡
🔖協議離縁
当事者の合意によって縁組を解消することができます💡
離婚と同様ですが、一方的な意思表示によっては解消できません!!
早くもタイトルの答えがでてきましたが、
合意と届け出が必要(要件)となります。
一応、後述の裁判離縁が「一方からの解消」のイメージに近いかもしれません。
なお、養子が15歳未満の場合、離縁の意味(どういう不利益が起こるかなど含め)を
理解できないと考えられますので、
養親と離縁後に法定代理人となるべきものが代わって協議をします。
離縁後に法定代理人となるものは、通常は「実親」です。
養子縁組が解消すると、実親の親権が回復するんです。
コラム 15歳
未成年であっても15歳以上であれば、単独で養子縁組ができます💡
理屈上は、別のうちの子になれてしまいます。
身分行為は財産行為とは違います。
当事者の自由意志が重要であり、尊重されるべきと考えられているためです。
とはいえ、中学生ですから。。
中々大胆な法律ですね😮
なお、未成年者と離縁する場合は特則がありますので注意が必要です💡
未成年者である養子の養親が夫婦である場合に離縁するには、
夫婦が共にする必要があります。
これは、養子縁組する場合に、
「夫婦そろってしなければならない」ルールになっているためです。
片方のみとの離縁を認めると、
せっかくのルールが台無しです。
🔖死後離縁
少々テクニカルな規定です。
条文を見ていきましょう💡
さて、前提の説明をします。
まず、死後に離縁ができるという点ですが、
普通に考えると、亡くなった時点で解消です。
婚姻に当てはめると、夫婦の一方が無くなると婚姻は効力を失います。
法律上、死者は権利も義務も手に入れることができませんから。
なので、わざわざ離婚しなくても、残されたほうが再婚ができます。
では離縁はなぜ、死後の離縁制度を用意したのでしょうか。
これは、養子縁組は「親族関係」をも作るからです。また相続権も発生します。
死亡と同時にこれらの権利関係を0にするわけにはいかないのです。
ですが、逆に、
養親は信用していたが、養親の兄弟や親などはあったこともない、信頼できないなど、
事情は様々です。
そこで、このようなしがらみから解放するための仕組みとして、
死後離縁を用意しました。
このような趣旨ですので、生存当事者からしか認めれません💡
家庭裁判所の許可が必要なのは、親子の契りは重要だから、という理由もありますが、
相続するためだけの縁組を防ぐためです。
「相続できた、シメシメ。用済みだから離縁だ」、は認めません。
🔖裁判離縁
離婚に置き換えると、裁判離婚と同じ立ち位置です。
裁判離縁には要件があります💡
・悪意の遺棄
・3年以上の生死不明
・縁組を継続し難い重大な事由
いずれかに該当する必要があります。
悪意の遺棄とは、山中に放り出されることではなく(それも含むのかもしれませんが・・)、
生活を養ってもらえない等の理由です。
これでは健全な親子関係とは言えません。
親子は扶養する義務が互いにあるためです。
3年以上の生死不明はわかりやすいです。
生きているか死んでいるか3年以上もわからないんです。
解消しないと、生きている前提で様々な利害関係が発生してしまうため、
離縁の原因とされました。
縁組を継続し難い重大な事由とは、
その他色んな理由を加味します、という意味です。
限定列挙にしてしまうと、かえって硬直的過ぎてやりにくいんです。
人間関係というのは複雑ですから。特に男女・親子関係は。。
悪意の遺棄と、3年以上生死不明は、なんと裁量棄却があります👀!!
裁判官「子Aが養親Bに悪意で遺棄されたことは認定する。だが、Aの負け」
という判決があり得るということです。
先ほど述べた通り、親子関係は複雑なので、
その他諸々の事情を考慮して決めたほうが、親子関係の為だからです。
ですが、実際は適用される事例は極限定的でしょう。
📌離縁の効果
当事者である養親・養子の関係は当然解消されますが、
親族関係も同じく解消します。
一切合切さようならです。
一部だけ関係を残すことはできません💡
📌養子縁組の取消しをするための大原則
養子縁組を解除することを、法律的には養子縁組の「取消し」といいます。
解消ではなく、取消しですので、「取消されても仕方がない事情」があります。
また、取消しの一般原則とは異なる扱いが設けられています💡
🔖家庭裁判所の許可が必要
必ず家庭裁判所の許可が必要になります。
法律は、親子・親族関係を断つのは事が重大だと考えているからです。
任侠映画みたいなものです。
「一度親子杯を交わしたら、実の親よりも関係が濃い」、
・・とまではいきませんが、イメージはそのような感じです😅
厳格な要件の下、法律的に親子関係を半ば無理やり認めているので、
当事者の意思一つでコロコロ取りやめられたら、世の中不安定になりますよね。
🔖効果はさかのぼらない
取消しの効果は、通常さかのぼります💡
初めからなかったこととなります。
ですが、離縁しても、効果はさかのぼりません!
初めから親子でなかったことになると、その間の法律関係は無効同然ですので、
全て清算せよということになります。
それはまずいので、将来に向かってのみ消滅する(離縁時から無効)としたのです💡
📌縁組が無効になる場合は何か
最後は無効原因です。
無効とは、初めから何も生じていないということです。
取消すとか解消するとかのレベルではありません。
何も存在していなかったということです。
🔖取消し原因その1 人違いとか
一つ目は、人違いその他の事由によって当事者間に縁組をする意思がない場合です。
初めてこの条文を見たとき「え?人違いって・・」と思いました。
ともかく、縁組意思がなければ取消すことができます💡
まあ、民法は明治時代に基礎が作られた法律ですから。
人違いとか、、、合ったんでしょう。
🔖取消し原因その2 届け出をしない
二つ目は、当事者が縁組の届け出をしないことです。
縁組は創設的届け出といって、届け出て初めて効力が生じるので、
届け出をしなければ不成立です。
届け出主義であることを裏付ける条文です。
📌まとめ
いかがでしたでしょうか。
成立と解消は2つで1つです。
各種制度を理解するのに大切なことは、両方向から理解することです。
養子縁組という、比較的テクニカルな制度はその活用がやや、難解です。
専門家を交えて検討するのがよいと思われますが、
非常に有益な制度ですので、積極的な活用が望まれます。