【疑問を解消!】遺言とは?自分で作成できる?「効力」がキーワード!付言事項で想いを加速!

遺言

📌遺言とは、お亡くなりになられた方の最後の意思表示

皆さん遺言(書)という言葉を聞いたことはありますでしょうか。

例が良くないかもしれませんが、個人的には「遺書」と似ており、

あまり前向きなワードに映らない気がしています😥

実際のところ、両者は全くの別物であり、遺言書は法律効果が発生する立派な法律行為となります。

死人に口なしなどという言葉があります通り、人はお亡くなりになると当然ながら意思表示ができなくなります。

一方、遺産を巡る親族間の争いは後を絶えません。

お亡くなりになられた方はそのようなことを望んでいたのでしょうか。

そのように、「紛争防止」が遺言の1つのテーマです💡

また、自分の財産を自由に処分するという基本的な法律の考え方も背景にあります😀

さて、どのような役割、種類があり、作成するにはどうすればよいのでしょうか。

当テーマにおいて解説していきたいと思います。

📌遺言書があると、死後の親族関係を良好に保ちやすい

前述の通り、遺言書の役割は、被相続人(亡くなった方)の生前の意思を、死後反映させることです。

かみ砕いていえば、自身の権利義務関係(財産など)を、どのように分配するかあらかじめ決めておくことです。

こうした行為がなぜ親族関係を良好に保つことにつながるのでしょうか😯?

遺産分割協議という制度と比較してご説明します。

人が亡くなると、相続が発生します(民法882条)

相続とは、死者の権利義務関係を相続人に、相続割合に応じて分配するものです。

どのような割合で分配されるかの基本ルールは法律で決まっています

例えば、夫が無くなり、残された親族が奥さん、子供2人の場合、奥さんが全体の2/4、お兄ちゃんが1/4、弟君が1/4といった形です。

これを法定相続分と言います。

ただし、あくまで法律の原則中の原則として決められた割合に過ぎないため、修正が可能です。

それが遺産分割協議です。

相続人全員の協議によって定める必要があります。

例えば、先の例で言えば、実際はお兄ちゃんが孤軍奮闘してお父さんの介護をしていて弟君は疎遠であった、

などの事情があり、

にもかかわらず同じ割合であるのがおかしいというのであれば、全員の合意があればその割合を変えることもできますし、

また、お兄ちゃんは家業を継ぐのでお父さんの工場をもらいたいし、

弟君と奥さんは関係ないので現金を多くもらいたい、なども可能です。

制度だけみると、話はうまくまとまりそうですが、実際はそうではありません。

相続というのは数少ない純粋な不労所得です。(マイナス財産、つまり借金も引き継ぎますが・・。)

つまり、モメやすいんです。

たかが1万円としても、場合によってはしこりが残ったりします。(私にとって1万円は大金です。。)

遺産分割協議は「相続人全員で行う」必要があるため、一人でも協議書に押印を拒めば不成立です。

では、どうすれば争いは避けられるのか。

そこで遺言書の登場です。

あらかじめ法定相続分に修正を加えておけば、残された相続人の納得感も違います。

(厳密に言えば、いかに遺言書があろうと、ケースによっては遺産分割協議による修正が可能なのですが。。)

繰り返しになりますが、

このように遺言書とは、自身の財産管理の側面と、死後の望まない争いを防止する側面があるわけです。

📌メジャーな遺言書は3つ。作成方法はまちまち💡

遺言書には様々な種類があります。

大きく「普通方式」と「特別方式」に分かれますが、後者はかなり特殊な場面で行う遺言です。

(難破船の船上で行う場合など)

ですので、ここでは普通方式に限定してお話します。

自筆証書遺言 ~自宅で自由に作成するならこちら!~

最も遺言書に対する一般的イメージの強い遺言です。

証人を必要とせず、一人で作成可能です。

要件は遺言の全文、日付及び氏名を自書することと、押印することです。

認印でも指印でも構いません。ただし「花押」はダメです)

日付も2021年吉日のようなあいまいな記載は認められません

いつ作成されたか」がとても重要なためです!!

遺言書は何回でも作成し直しが可能なので、複数枚出てきたときは後者が優先するルールがあります。

逆に、いつ作成されたかわかればよいので、「東京オリンピックの開会式当日」という記載は有効です。

氏名は誰であるか特定できれば良いので、通称・ペンネームなどでもOKです。

大変なのが「自書」です😥

記載ミスした際の方法まで法定されています。長々と基本ノーミスで手書きしないといけません。

結構大変な作業です。

修正は可能ですが、方法が法律で決まっており、「何行目のどれを何に訂正(押印)」といったように、

訂正の仕方すら間違える可能性があります😣

実務上は、すべて書き直しを推奨しています🤔

修正ミスにより、意図したとおりの効力が生じない可能性があり、

そのリスクのほうが大きいんです😥

(法改正により財産目録は、PCで作成してプリントアウトしたものや、通帳のコピーでもOKとなりました)

コラム 自筆証書遺言のリスク

自分で自由に書けるのはいいなーと思われる方も大勢いらっしゃるかとは思いますが、

実際は重大なリスクもあります😥

それは、「存在を闇に葬られる可能性」があるということです。

2つあり、1つは、誰にも気が付いてもらえないケースです。

銀行の貸金庫などであればまだしも、書類の束に入っていた場合、丸ごと捨てられてしまう可能性もあります。

遺品整理は大変ですから。。

2つ目は、都合の悪い遺言を捨てられてしまう可能性です。

例えば、長男には一切財産を相続させない内容になっており、その遺言を一番初めに長男が見つけた場合どうでしょうか。

悪い長男であれば、たぶん燃やすか捨てるかしますよね。。😫

このように、その存在が公的機関に証明されていないことは大きなリスクなんです💡

最近は「自筆証書保管制度」が新設されましたので、

こういったリスク回避のために、ぜひ活用していきましょう!

秘密証書遺言 ~内容は秘密、存在は公にしたい方はこちら!~

あまり使われないので、概要にとどめます。

内容は知られたくないが、ちゃんと存在することを公証しておきたい場合に使います。

自筆証書遺言とは異なり、第三者が代わりに作成してもOKなところがかなり特殊です。

※この場合、その方には内容を知られますが、ご本人がOKということなので問題ありません💡

公証人(公証役場にいるお役人さん)と証人2名が必要です。

内容を確認するわけではなく、「確かに遺言書がある」ということを公証人と証人が確認するんです。

封筒に入れておくのですが、封印として遺言書に押印した印鑑で押印する必要があります。

こういった秘密証書遺言の要件を満たさない場合も、自筆証書遺言としての要件を満たせば、

自筆証書遺言として有効になります。(つまり、遺言書として有効になるので、故人としては何の問題もありません)。

自筆の必要はないので、作成が楽というメリットはあります😃

コラム 秘密証書遺言のリスク

自筆証書遺言と同様、

作成方法に間違いがありえる事が重大リスクです。

これでOKという保障がないので、

ふたを開けてみたらタダのお手紙と扱われてしまう悲しい結末があり得ます😥

公正証書遺言 ~最も安全!記載間違いを防ぎ、存在を公証したい方はこちら~

法律家が一番おススメする遺言がこちらです。(理由は後述)

公証役場にて行う、最も厳格で確実な遺言になります。

方式は以下のように法定されています。

①証人2名以上の立ち合い

依頼を受けた法律事務所のスタッフ2名がなるケースが多いです。

依頼者本人と連れ立って公証役場に向かいます。

②遺言者が遺言の趣旨を公証人に対して口述する

遺言者自身が公証人に遺言の趣旨を直接話して聞かせます。

なお、言語機能や聴覚障害がある障がい者の方は、通訳を使用することも認められます。

③公証人が遺言者の口述を基に筆記を行い、遺言者及び証人に読み聞かせる

内容に間違いがないか確認を求められます

④遺言者と証人が署名押印を行う

障がいにより署名が困難な場合は、公証人がその旨を付記することで、署名に代えることが認められます。

※署名はつまり、氏名を自書するということです。

⑤公証人が上記がその方式に沿ったものであることを付記し、署名押印をする。

以上で完成です。

なお、ここまで書いて何なのですが、実際は事前に公証役場と遺言内容をやり取りしておき、

当日は手順を簡略化することが通例です。

コラム 公正証書遺言のリスク

法的にリスクらしいリスクはありませんが、

あえて言うならば、作成にかかる費用でしょうか。

公証人や、証人、行政書士などの専門家が関与するお手続きですので、

一般的には自筆証書遺言、秘密証書遺言よりも費用が必要となります😌

ただ、これを必要経費として考えれば、気持ちの落としどころとなりますでしょうか。

あの世にお金を持っていくことはできません。

後日の紛争を回避して、生きている大切な親族の平穏を保つためと考えれば、

検討の余地はあるのではないでしょうか。

📌付言事項によって、想いを届けましょう!

不言事項とは、法律的効果とは関係がない、相続人へ最後の言葉のようなものです💡

遺言によって法律的効果が生じる事項は、法律で決まっています。

それ以外のことは、いくら記載をしてもなんの法律効果も生じません。

ですが、私はこの付言事項も非常に重要だと考えています😐

例えば、

・長男へ お母さんを大切にして、自分に代わって家族を守ってほしい

・次男へ 優しいところが一番の長所だ。みんなと協力して良い家庭を築いてほしい

など。

これらは法律効果は何も生じません。

ですが、こうした想いは、場合によっては法律よりも重要だと思います。

法律に縛られると、淡白な内容になりかねません。

法律は完璧ではありません。

人の想いを法律だけで規律することは不可能なんです。

うまく活用していきたいですね😉

なお、付言事項によって、法律効果が生じる部分(遺言書の本丸)の解釈に疑義が生じるようでは、

よろしくありませんので、

どういった事項が法廷事項で、何が付言事項か、などは、やはり法律の専門家の力が必要になるでしょう💡

📌最後に

昨今、死後の財産関係を整理する流れが加速しています。

エンディングノートや家族信託など、徐々にではありますが方法や制度も整ってきました。

確かにお金はあの世に持っていけません。その意味では、残された者で決めて良い、とも考えられます。

しかし、残した財産が思わぬ形で紛争の火種になることもあります。

私としては、ご自身が汗水流して積み上げた財産ですので、死後もご納得が行くように、

ご自身で決定されるのが良いと思っています。

生前、皆様とお話し合いになっても良いと思います。

弊所では、原案作成のお手伝いをさせていただいております。

また、現時点でどなたが相続人になるか、といった調査を引き受けております。

ご不安な方はまずはお問い合わせ下さいませ。

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