遺産分割前の相続預金の払戻し制度とは? ~簡単に言うとシリーズ!~

ビートラック行政書士事務所 水谷です!

今回は遺産分割前の相続預金の払戻し制度の違いについて

ご説明していきます♪

わかりそうでわからない 簡単に言うとシリーズです!

ラフにわかりやすさ重視で書いています^^

📝point

  • 原則、遺産分割をしないと預金が下せないよ
  • 新制度出来ました
  • 使い勝手は悪くなさそう

📌遺産分割協議をしよう

人がお亡くなりになられると、「相続」が発生します。

相続とは、お亡くなりになられた人の権利義務が、生きている方に引き継がれることを言います。

この「生きている人」のことを「相続人」と言います。

相続人が一人だとわかりやすいんですが、

(100万円の貯金は全部俺のものだ!)

複数いることもあります(奥さんと子ども5人とか)

この場合、普通の感覚では、「話し合って決める」となるんでしょうか?

法律の思想も概ねその通りなんですが、問題があります。

「直ぐに話し合うとは限らない」ということです。

もちろん、葬儀などでとにかくお忙しいでしょうし、心身ともに疲弊しています。

とても、お亡くなり翌日に「さあ、100万円をわけましょう!!」とはなりません。

つまり、お亡くなりになってから、話し合いがされるまで、

一時的に財産が宙に浮いてしまうことがあり得る、ということになります。

法律(を作った人)は、中途半端な状態が大嫌いです。

なぜか。

それは、中途半端だと争いが生じるからです。

何か問題が起きても、当事者全員が納得していれば紛争は起こりません。

ですが、大小あれど、基本、衝突は起こります。

性善説、性悪説みたいになりそうですが、

法律を作った人は「きっと大丈夫だろう!縛るより曖昧にしておこう!」とは考えません。

それは、日常生活のみならず、経済活動等にも影響が及ぶからです。

紛争がおきるということは、終局的に裁判になるということです。

殴ったりしてはいけません。直ぐに逮捕されます。

「曖昧さゆえに紛争が起こる→みんな訴訟をする→裁判所がパンクする」

これは良くないことだと思ったわけです。

税金で国は儲かるかもしれませんが、

裁判所の判断としても、判決の際は「将来的な新たな火種をうまないように」という思想があります。

誰も紛争は起こってほしくないわけです。

話を戻しますと、

話し合ってほしいのはヤマヤマだが、そううまくもいかないだろう

→だから、法律で相続できる割合を決めておこう。そうすれば一応、「誰の分」と権利が決まる。

→だが、本当は話し合ってほしいのだ。なぜなら、各家庭、事情から何から違うのだから。

→では、相続分を修正できるような制度を作ろう

→それが遺産分割協議である

ということです。

📌銀行との関係

さて、遺産分割協議をしなくても、割合は一応決まるというお話でした。

つまり、協議をしなくても、「それでいいよ!」という状況はあり得ます。

ですが、銀行は嫌います。

なぜなら、

「遺産分割協議をしていないということは、払い渡した後、

「やっぱ協議したので、私権利なくなりました!」とか言われたら嫌だな」と思うからです。

現金その場限りではないですが、銀行は、絶対に「払い間違い」をしたくありません。

遺産分割協議は、相続開始時=お亡くなりになった時、にさかのぼるという性質があるため、

実は預貯金の引き出しをする権利が「最初から」なかった、ということもあり得るんです。

ですので、お亡くなりになられた方の預貯金を引き出すには、

基本的には、遺産分割協議書の提出を求められます。

📌至急お金が必要

本題に入りましょう。

これまでで、「遺産分割協議は推奨されるが、時間がかかる」

ということはご理解いただけたかと思います。

ですが、葬儀代やその後の生活のために、至急お金が必要な場合ってありますよね。

そこで、近年法改正があり、

「一部は遺産分割前に引き出せます」というルールが誕生しました。

この制度を使えば、

例えば、相続人がAさん、Bさん、Cさんの3名いたとして、

AさんもBさんもCさんも、「それぞれ」所定の額を単独で引き出すことが可能になります。

📌2つの新制度

新制度は2つです。

1.家庭裁判所の判断による払い戻し制度

少し前提のお話をします。

遺産分割は、自分たちで話し合う以外に、裁判所で話し合うこともできます。

ちょっと揉めているケースなどで、裁判所(専門委員がいます)というプロに

間に入ってもらうわけです。

この場合、払出しが認められる額は、

「家庭裁判所が仮取得を認めた金額」となります。

概ね必要な書類は、

家庭裁判所の審判書謄本と、預金の払出しを希望される方の印鑑証明書になります。

2.家庭裁判所が絡まない場合の払い戻し制度

このケースの方が多いでしょう。

家庭裁判所が絡むケースと比べ少し制約がでてきます。

まず、同一の金融機関(同一の金融機関の複数の支店に相続預金がある場合は、その全支店)

からの払戻しは150万円が上限になります。

至急必要になるお金として、葬儀費用や当面の生活費と考えると、

一人頭150万円引き出せば十分でしょう。

あまりに多額の預貯金を引き出せてしまうとそれはそれで問題です。

なぜなら、後で遺産分割が決着するかもしれないからです。

Aさんに1000万円渡して、

遺産分割協議の結果Aさんの取り分は50万円だった、なんてこともあります。

950万円は大金ですので、おいそれと返せません。

そもそも、「お金が無いので引き出させてくれ」と言ってきていたAさんです。。

ですが、100万円なら何とかいけそうでしょうか。

どうしても必要な額 vs 最悪返せる額 のバトル結果ですね。。

ちなみに、これはあくまで「上限」ですから、

実際はもっと低くなることもあります。

以下、計算式で計算しましょう。

「単独で払戻しができる額」

=「相続開始時の預金額」×「1/3」×「払い戻しを行う相続人の法定相続分」

です。

実例としては、

長男Aさん、次男Bさん、お亡くなりになられたお父様の預金が600万円とします。

この場合、Aさん=600万円×1/3×1/2=100万円

となります。

※1/2は、法律で決まった割合です。

いくつもパターンはありますが、相続人が子どものみの場合は、みんな平等の割合になりますので、

例のケースでは、Aさん、Bさんともに1/2(半分こ)です。

概ね必要な書類は、

被相続人の除籍謄本と、相続人全員の戸籍謄本、

預金の払出しを希望される方の印鑑証明書になります。

📌まとめ

・遺産分割協議をしないと、原則預貯金は下せないよ

・新しいルールを使えば、少しだけおろすことができるよ

・2パターンあるから、相応しい方を選ぼう

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