ビートラック行政書士事務所 水谷です!
今回は「事実婚・内縁」についてご説明していきたいと思います!
昨今、婚姻という道を選ばずに、パートナー、
いわゆる内縁を選択される方も増えてきました!
では婚姻と何が違うのでしょうか?
📝こんな人におすすめ
- 事実婚・内縁に相続権はあるのか知りたい方
- 事実婚・内縁と婚姻の違いについて知りたい方
- 事実婚・内縁者の子どもの法的な立ち位置が知りたい方
- 事実婚・内縁を破棄されてお困りの方
📌事実婚・内縁とはどういう状況なのか?
内縁とはどういう状況なのでしょうか。
これは、判例によると
「婚姻意思があり社会的、習俗的には夫婦と認められる実質を有しながら、
婚姻の届け出をしない男女の関係」
と言えます。
法律上は、事実婚という言葉よりは内縁という言葉をよく使います。
両社の区別は、しようと思えばできるのでしょうが、
そこまでこだわる必要はないかもしれません💡
このブログでは、両者とも同じ意味として扱っていきます。
ざっくり言いますと、
婚姻届けをしていないため法律上の夫婦ではないが、実質的な夫婦という意味です。
要件は
①婚姻意思
②夫婦の実質
の2点です💡
📌事実婚・内縁と婚姻関係の違いは何か?
🔖事実婚・内縁の法的立ち位置
大きな思想の軸が2本あります💡
一つ目は、
相続に関しては基本無視の姿勢
二つ目は、
可能な限り婚姻関係に準じさせる
ということです。
両者は矛盾しているようにも見えますが、並び立ちます。
🔖相続できない?
残念ながら、事実婚・内縁関係では、相続権が発生しません😥
民法上は、無視に等しい状態です。
なぜでしょうか。
以下ブログでも少し触れましたが、
民法は、相続関係は「戸籍」で決める!という強い意志を持っています。
相続は、基準をあいまいにしてしまうと非常にもめやすいんです。
相続人が法律上はっきりしたとしても、もめやすいですし。。
なので、事実婚・内縁など届け出がされていない、
「意思があいまい」な概念を相続に取り込むことはできないと考えられました💡
コラム 婚姻の強制
婚姻の強制はできません💡
例えば、
事実婚状態だからとか、
婚約しているからとか、
お互いの両親に会わせたからとか、
色々あるとは思いますが、残念ながら裁判所の力をもってしても、婚姻は強制できないのです。
これは、財産関係の法律と違い、
身分関係の法律においては、
何より当事者の真意が重要であり、強制(執行)になじまないと考えられているからです。
お金で解決できることではありませんが、損害賠償という形で争う他ありません。
🔖有る権利義務・無い権利義務
では、有る権利義務と無い権利義務を、いくつか整理しましょう。
有る無しの分かれ道は、
「婚姻届けを提出したことが前提」になるか否かです!
【有る権利義務(事実婚・内縁でも認められる)】
・同居・協力・扶助の義務
👉一緒に住んで・協力し、助け合って生きていきましょう
・貞操義務
👉浮気はいけません
・日常家事債務の連帯責任
👉日常生活で生じる義務は、他方が契約したものであっても、片一方も履行の義務を負います
・財産分与
👉内縁関係が解消した場合、お二人の財産を分けましょう
※死亡した場合は分与できませんのでご注意下さい。
【無い権利義務(事実婚・内縁では認められない)】
・氏
👉姓です。パートナーと同じ姓にはなれません
・姻族関係
👉パートナーとの親族関係は生じません。嫁姑関係は生じないわけです(法律上は)。
・相続
👉相続できませんので、長く連れ添っても、原則1円ももらえません。
📌子どもが産まれた場合はどうなる?
法律上、事実婚・内縁関係による子どもの立場は「非嫡出子」となります。
嫡出子とは「婚姻関係にある男女の子」です。
その場合、子どもはお母さんの戸籍に入ります。
また、お父さんとの関係は「認知」をもって生じますので、
認知がないと、お父さんがなくなっても、子どもに相続権が発生しません。
さらに、扶養の義務も生じません。
認知は「認める」という意味です。
通常、父が子を自ら認めることになりますが、
もし認知してくれなければ、子サイドから「強制認知の訴え」を提起するしかありません
📌事実婚・内縁は解消できるの?
もちろん解消はできますし、一定の状況になると自動的に解消されます💡
🔖任意で解消する場合
当事者の一方から、理由の一切を問わず、一方的に解消可能です。
離婚の場合、双方の合意が必要ですが、法律婚ではありませんので、
彼氏彼女とお別れするのと同じく、好き勝手に終わらせることができます。
🔖自然解消
死亡により自動的に解消します。
これは婚姻の解消と同じです💡
法律の原則論の話になりますが、
我々は産まれたことにより権利義務を得て、死亡によりそれらを失います。
死者に「あんパン売ってくれ」という権利を認められるはずもなく、
また、お墓の前で「メロンパンの代金支払ってくれ」と言ったところで無意味です。
つまり、死亡すると、
婚姻しているという法律関係(色々な権利義務が発生します)を認める根拠がなくなるのです。
これは内縁も同じですよね。
というわけで、死亡することで、特に意思表示をせずとも事実婚・内縁は終了します。
📌勝手にお別れされた。何かできることはないの?
前章で、一方的な意思表示でお別れできますと書きました。
ちょっと酷く無いでしょうか😥
理由も問わないんです。
つまり「別に好きな人ができたからサヨナラだ」と言われても、仕方ないわけです。
もちろん打つ手はあります💡
民法415条、民法709条です。
どちらも損害賠償に関する条文です。
民法415条は、「約束を果たせないなら損害を賠償せよ」という条文で、
民法709条は、「わざと、もしくはうっかりであっても、
私の守られるべき利益を害したならお金を払え」という条文です。
事実婚・内縁を「約束」ととらえることができるので、破棄は約束違反(債務不履行)ですし、
心を傷つけられたなら慰謝料請求ができるわけです。
事実婚・内縁は「婚姻予約」の性質があります。
前述の通り、婚姻の強制はできませんが、約束は約束です。
コラム 嫌がらせ
こんな判例があります。
A男さんとB女さんが内縁関係にありました。
ところが、同居のA男の母C女さんが、B女さんに嫌がらせをしました。
(泥棒!などとののしったりしたようです)
その状況で、A男も特段止めなかったことで、さすがにB女さんが内縁関係を保てなくなり、
破綻してしまいました。
判例は、B女さんからC女さんへの損害賠償請求を認めました💡
事実婚・内縁は、単なる彼氏彼女の関係よりも強いのです。
先に述べたように、可能な限り婚姻関係に準じるというのが法律の思想です。
📌事実婚・内縁と認めてもらいたいあなた達
🔖勝手に宣言しても、それだけでは無意味
さて、事実婚・内縁は法律婚に準じる効果があります💡
ですが、それほどに強い権利なので、
「今日から同棲始めます!結婚を前提としているので事実婚でお願いします!」
といったところで、簡単には認められないでしょう。
ではどういう状態であれば、認められやすいのでしょうか。
🔖状況によって変わる
次のような状況があれば、認められやすいでしょう
・両親と顔合わせをした
・親族からも夫婦として扱われている
・同居している(3年以上とか、それなりの長い間)
・住民票が同一世帯
・家計が同じ
・子どもを認知している
📌まとめ
いかがでしたでしょうか。
事実婚・内縁は以前より増えていますし、
風通しの良い選択肢として、非常に喜ばしい風潮かなと個人的には思っています。
法律に携わる人間ではありますが、
だからと言って法律が最も素晴らしいとは思っていません🙂
もし何か法律関係でお困りごとが生じた際は、ぜひお問い合わせくださいませ。
必要に応じて適切に他士業と連携し、皆様の満足を応援したいと思います💡