【遺産分割協議とは何か?】どういったときに必要で、どのように行えば良いの⁉

相続

ビートラック行政書士事務所 水谷です!

今回は遺産分割協議についてご説明いたします。

📝こういった人におススメ

  • 身内がお亡くなりになられた方
  • 遺産分けを行いたい方
  • どのような手続きか知りたい方

📌遺産分割とは何か?

遺産分割とは何なのでしょうか。

イメージは日本語の意味通りでOKです。

お身内が亡くなられた場合に、故人の財産(遺産)を相続人間で分ける(分割)することです💡

遺産分けを話し合うことを、法律用語で「遺産分割協議」と呼びます。

📌遺産分割を行わないとどうなるか

🔖すぐに遺産分割をできる状態とは限らない

葬儀など、お身内が亡くなられると、やるべきことが非常に多いです。

また悲しみの中、精神状態も普通ではないでしょう。

そのような中「遺産を分けようか!」とならないご家族も多々いらっしゃると思います。

もちろん、法的にはすぐに行うことが可能です。

では遺産分割を行わない場合どうなるでしょうか。

🔖共有状態が生じる

相続人が複数いる場合、遺産分割協議が成立するまでは、

故人の財産は「共有」状態になります💡

民法898条

相続人が数人あるときは、相続財産は、その共有に属する

共有は法律用語ですが、こちらも日本語の意味通りにとらえればOKです。

ですので、家も建物も「みんなのもの」になります。

みんなのもの」って、良いように聞こえるかもしれませんが、

実は結構不安定で厄介な状態なんです😫

後半でこの部分にも触れていきます!

🔖共有の例外

先ほど、共有になりますと書きましたが、

これには例外があります💡

債権・債務は相続によって当然に分割されます(最判昭29.4.8)

つまり、2人相続人がいるとして、

100万円の借金は、50万円ずつ返す義務を相続します。

100万円の貸したお金は、50万円ずつ返してもらう権利を相続します。

非常にややこしいのですが、

遺産分割をすることで、遡って債権債務を特定の人のものにすることができます。

あくまで、遺産分割協議をしなければ(債権・債務を協議の対象としなければ)、

相続割合に応じて「当然に」相続するということです。

さらに非常にややこしいのですが、

預貯金債権は当然には分割されません・・💡

預貯金債権は、「債権」という名がついていますが、

その他の債権とは少し違います。

預貯金は家に置いておくには都合が悪いので、「預けているだけ」です。

債権は「〇〇せよ~!」という権利です。

時計代金100万円払え~、という権利です。

ですが、1億円の現金を家に置いておくのはさすがにちょっと・・という事情があるので、

銀行に預けておいて、必要な時に「お金を返せ~」と請求するわけです。

ですので、預貯金債権は実質、ただの「お金」です。

お金は債権(〇〇せよ~!)ではありません。物です。

実質的に債権ではないのです。

そこで、預貯金については遺産分割を待って分割されることなります。

ややこしいですね~😓

このような解釈があるため、

金融機関はおいそれと払い出しに応じてくれません・・❗

金融機関としても「自称権利者」に、

お預かりしている大事なお金を渡すわけにはいかないのです

コラム 債権とは何か

債権とは「特定人の特定人に対する請求権」です。

「特定人の特定人に対する」ですので、

山田太郎さんの鈴木一郎さんへ対する請求権です。

どういうことかと言うと、

山田太郎さんは、鈴木一郎さんへ「お金を返せ」と言えますが、

息子の鈴木太郎さん、鈴木太一さんへは言えません。

家族といえど、別の人だからです。

一方、山田太郎さんの妻の花子さんも、「お金を返せ」とは言えません。

これが「特定人」の意味です。

相続が生じると、債権債務は当然に分割されますので、

鈴木太郎さん、太一さんへ返せと言えるようになるのです。

少々ややこしいのですが、対立概念は「物権」です。

所有権とか抵当権ですね。

自分の家は、誰に対しても自分の家です。

鈴木一郎さんへは「私の家です」と言えるけど、

太郎さんへは言えないんです・・なんてあり得ないですよね。

誰に対しても(特定人でなくても)主張できる権利が、物権なんです。

📌遺産分割はいつ必要になる?

🔖遺産分割はいつ行えば良い?

ざっくり言うと、

お身内がお亡くなりになられてから、いつでも、ということになります。

あらかじめ話あっておくことはできますが、

法的には意味をなさないので注意が必要です❗

🔖遺産分割が必要になるケース

いくつか想定されますが、例えば以下のようなケースです。

遺産分割協議書を作成する必要があります。

  • 不動産の名義変更 :不動産登記を行う際に必要になります
  • 自動車の名義変更 :運輸支局に対して手続きが必要になります
  • 相続税の申告 :相続税が発生する場合に税務署に対する手続きで必要になります。
  • 預貯金の解約・払戻し・名義変更 :各金融機関に問い合わせをしましょう
  • 株式の名義変更 :証券会社に対して名義変更手続きを行います

📌遺産分割はどのように行う?

🔖原則

遺産分割協議には絶対に守らないければならないルールがあります💡

それは、遺産分割協議は相続人全員で行う必要があるということです。

隠し子とかを無視してはいけません。無効になります。

全員の印鑑証明書が必要になりますので、

実印登録がされていなければ、速やかに準備しましょう。

また、未成年者がいる場合、親御さんが代理することになりますが、

相続放棄をしていない限り、原則、利益相反に当たりますので、

家庭裁判所へ、特別代理人の選任申し立てが必要になりますので注意してください❗

コラム 親御さんがお子さんの代わりに遺産分割協議を行う

本文で「原則」利益相反になると記載しました。

利益相反とは「利益が相反するので、代理が無効になる」ということです。

よって、代わって協議することができません。

これは、「遺産分割協議をすること自体」が利益相反ですので、

全部の借金を私(親)が負います!という内容であってもダメです。

OKとなりえるパターンは2つほどでしょうか。

1つ目は、相続放棄をすることです。

親御さんが相続放棄をすれば、「初めから相続人でなかったことになる」ので、

お子さんを代理しても「利益が反する」ことはあり得ません。

2つ目は、そもそも親御さんが法定代理人ではあるが、相続人ではない場合です。

難しいですが、

Aさんがお亡くなりになり、BさんはAさんの元奥さん(離婚)です。

そのお子さんとして、Cさん、Dさんがいます。

この場合は、Bさんはそもそも相続人になりません。

Aさんの死亡時に離婚しており、アカの他人になっているからです。

ですが、CさんとDさんの親(≒法定代理人)であることに変わりはありません。

よって、CさんまたはDさんの一方の代理をして協議を行うことが可能です。

注意点は、「一方」であることです。

Cさん・Dさん双方の代理を許すと、Bさんの匙加減一つで、

Cさん・Dさんの命運が決まってしまうのでまずいのです。

この場合、代理しない方については、特別代理人を引っ張ってくる必要があります。

🔖例外

原則で記載した通り、相続人全員で行う必要がありますが、

実は、相続人以外でも分割協議の当事者となりえる人がいます。

包括受遺者と、相続分の譲受人です💡

包括受遺者とは、遺言によって相続割合を受けた人です。

全体の1/2を生前お世話になったAさんに渡す、という遺言が可能なんです。

相続分の譲受人とは、相続割合をもらった(買った)人です。

相続人は自分の相続分を売ったり、あげたりできるんです。

包括受遺者と相続分の譲受人は、相続人の地位を譲り受けているので、

あたかも相続人として扱われます💡

よって、遺産分割協議の当事者となるわけです。

権利を売り買いできるのは良いですが、

全然知らない人に入ってこられるとちょっと嫌ですよね・・。

📌遺産分割の種類

遺産分割には種類があります💡

1つ目は、協議分割です。

一番メジャーな分割方法ですね。

相続人全員で話あって決めてください。

2つ目は指定分割です。

被相続人が、遺言によって分割方法を指定し、

または第三者に分割方法の指定を委託する方法です。

3つ目は審判分割です。

分割協議が調わない場合や、分割協議ができない場合の最後の手段です。

家庭裁判所のお出ましとなります。

📌どうやって分割すればよい??

さて、最後に、どうやって分割すればよいかご説明いたします。

方法は3つです。

1つ目は現物分割です

土地でいえば半分ずつに割るようなイメージです。

法律に馴染みのない方は、この分割方法が一番わかりやすいのではないでしょうか

2つ目は価格分割です

相続財産を売り払って、その代金を割るイメージです。

土地は半分などにすると狭くなって価値が下がることがあるので、

であれば、ひとまとめで高値で売るのも良いのでしょうね。

3つ目は代償分割です

これは相続人の内の一人が相続財産(例えば土地)を手に入れて、

他の相続人にはお金を支払う方法です。

建物などの場合、

そこに住みたいけど、半分にするというのも無理だしなあ・・という場合など、

非常に納得感がありそうです。

📌まとめ

いかがでしたでしょうか。

遺産分けは「何かの前工程」というイメージで良いと思います。

共有状態は法律的にはとても不安定です。

原則何かしようとすると、他の共有者の承諾が必要になったり、

金融機関が受け付けてくれなかったり、

物の価値が下がったり、

あまり良いことがありません💡

相続手続きが済まないうちに新たな相続が生じると、

手続きが一段と複雑になりますので、

お困りの際は、お早めにお手続きを進めることを推奨いたします💡

行政書士は相続手続きの専門家です💡

弊所は各種手続きの中でも相続を得意としておりますので、

お困りの際はご相談ください🙂

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