ビートラック行政書士事務所 水谷です!
今回は遺留分と相続について解説していきます♪
遺留分については法改正がありましたので、最新情報を追いましょう!
📝こんな人におススメ
- 遺留分について知りたい方
- 遺留分があることで何が起こるか知りたい方
- 相続が発生している方
- 遺言を検討されている方
📌遺留分とは何か わかりやすく概要説明
遺留分とは、一定の相続人に保障されている相続財産の割合のことです💡
これだけではちょっとわかりにくいと思いますので、解説いたします。
何も特別なことをせずに、相続人に相続財産が承継されれば特に問題は起こりません!
問題は、相続財産が、遺言により贈与された、生前贈与されたなど、
財産が流出してしまったケースです🙄
例えば、お父様が1億円の土地と、現金2,000万円を保有していたとします。
相続人が妻と子一人の場合、
1億2,000万円を1/2ずつ分け合います。
(遺産分割をしない場合の法定相続分で計算した場合です)
ですが、遺言書が見つかり、「土地を知人のAさんに贈与する」と記載されていた場合どうなるでしょうか❔
(これを「遺贈」といいます)
遺言はお亡くなりになられた方の最後の意思表示ですので、
「可能な限り優先しよう!」という思想で規定されています🙄
すると、現金2,000万円しか残っていませんので、
2,000万円を1/2ずつ分け合うことになります。
・・いくら遺言が最後の意志としても、ちょっとどうなのかな、と思いますよね。
実はその感覚、間違ってないんです💡
つまり、以下のような考え方です👀
・相続は包括承継である(一切合切を引き継ぐ)
・相続は残された方の生活保障の役割がある
・本来相続できるはずだった相続財産が流出してしまうと、生活に困る(かもしれない)
・生活に困る人が増えると、国のサポート(生活保護)が増える
・国のサポート(生活保護)の財源は、税金である
・税金が足りなくなるとサポートできない。
・税を増やすと国民の負担が増える
そこで、流出した財産のうち、一定割合を取り戻すことができる制度が編み出されました。
「相当するお金を払え」と請求できます。
それが、遺留分(侵害額請求権)です💡
📌遺留分を有する者(遺留分権利者)は誰か
では、遺留分を請求できる人は誰でしょうか。
相続人に決まってる、とお思いかもしれませんが、実はイコールではありません💡
「兄弟姉妹以外の相続人」です!
兄弟姉妹は除かれます😥
コラム 相続には順番がある
兄弟姉妹は除かれるという話をしましたが、
相続には順番があります。
子供、おじいちゃん、兄弟などが一斉に相続人になるわけではありません。
詳細は別ブログをご参照いただくとして、以下概要を記載しておきます。
ルールは、先順位がいなければ次の順位者がようやく相続人になります。(それまでは無関係です)
常に相続人になる人:配偶者
第一位:子
第二位:親
第三位:兄弟姉妹
相続は、「その後の生活保障」といったことを記載しました。
ですが、相続は兄弟姉妹に厳しいです😥
兄弟姉妹は関係性が遠いので、「相続財産に頼らず、自分の力で何とかせい!」
と考えられているんです。
そこで、財産がどんどん流出した後、先順位者が次々相続放棄などでいなくなった場合、
いざ兄弟姉妹が相続しても、「財産を取り戻すぞ!」という請求はできません😫
コラム 遺留分は放棄できる
なんと遺留分は放棄できます。
遺留分の放棄なんてするの?と思いかと思いますが、
あり得ます💡
例えば、再婚のケースなどです。
要するに親族感情がもめているケースです。
配偶者は常に相続人になります。そして、全体の最低でも1/2を相続する強い立場の人です。
死の直前に婚姻すると、他の親族からすると、大半を持っていかれることになります。
そこで、相続でとられる前に生前贈与なり、遺言書をしたためてもらおう、となるわけですが、
前述のとおり、配偶者には遺留分という権利がありますので、
配偶者が「返せ!」と言ってくる可能性があるわけです👀
これを防ぐために、遺留分の放棄を活用するのです。
もちろん、配偶者固有の権利なので、勝手に放棄することはできないですし、
放棄を迫って無理やりはだめです(刑法上の脅迫、民法上の強迫等に当たりえます)。
立法者はよく考えていますので、
そういったドロドロした事情をもちろん考慮して立法しています🙂
裏で脅して形式的に配偶者の任意・真意だとするケースがあり得ますよね。
そこで、遺留分の放棄は「家庭裁判所の許可が必要」としました!
例えば、それなりの財産を配偶者の方に贈与した、などの事情を考慮されるわけです。
お亡くなりになられる前でも放棄は可能です。
📌遺留分侵害額請求とは何か
遺留分を実際に確保するための請求権を、
遺留分侵害額請求権といいます!
遺留分侵害額に相当する金銭の支払いを請求できる権利のことです💰
以前は「遺留分減殺請求」という名前でした。
法改正をして「お金で解決」することとしたので、
制度が改正され、名前も変わりました。
特に裁判所に訴える必要はなく、普通に「行使します」と請求すればOKです。
ですが、そんな通知受け取ってないととぼけられると厄介なので、
通常は、配達証明書付き内容証明郵便などを活用します📝
📌お金がなくて支払えない場合
実際に遺留分侵害額請求をされても、
お金がない場合があります。支払えないということです。
この場合、裁判所に相当の期限を許与してもらうことができます💡
要するに「ちょっと待ってもらう」ということです。
ちょっと待ってもらわないと、利息が付きます。
遺留分侵害額請求は立派な権利ですので、請求された以上、保護されます。
裁判所が「ちょっと待ってやれ」と言ってくれれば、特に不利益は生じません。
コラム 物を返してもいい?
物を返すことはできません💡
遺留分侵害額請求は「お金で解決する制度」です。
よって、請求者側から「物を返せ」ということもできません。
良いのか悪いのか、という感じですが・・。
📌具体的な請求額の計算
計算式がありますので、以下の通り算出します🧮
(・・結構ややこしいです)
基本的な計算ロジックは
①遺留分額はいくらなのか
②では、いくら侵害されているのか?
という2段構えです💡
🔖遺留分の計算
遺留分=
(死亡時のプラス財産 + 贈与した財産の額 - 債務額)
× 各遺留分権利者の遺留分の割合
です👀
簡単な具体例を示します👇
なお、遺留分率は、以下のようなルールがあります💡
①直系尊属のみが相続人である場合は1/3
②上記以外の場合は1/2
こちらに各相続分を掛け算します。
そして、一人一人個別に決まります。(全員で何割、という決め方はしません)
例えば妻と子が相続人の場合の妻の遺留分率は
1/2(上記割合②)×1/2(妻の法廷相続割合)=1/4です。
例:妻の遺留分を計算します。
死亡時のプラス財産
自動車500万円 預貯金1,000万円
贈与した財産の額
土地1,000万円 自動車100万円
債務額(死亡時の借金の額)
1,000万円
相続人
妻 子一人
式にあてはめます💡
(500万円 + 1,000万円 + 1,000万円 + 100万円 -1,000万円)
×1/4
=400万円
これが「実際手元に残してあげるべき金額」です。
🔖侵害額の計算
遺留分から、実際に相続できる額と債務の差額を引きます。
400万円 - (1,600万円 - 1,000万円) =-200万円
つまり、手元に600万円残りますので、
この場合遺留分の侵害がありません💡
よって請求金額は0円です💰
この計算がプラスになると、その分が遺留分を侵害している額になりますので、
土地1,000万円 自動車100万円を受け取った人に「お金払え」ということが可能になります。
📌いつの贈与分まで追求できるのか
最後は、いつの贈与分まで追求できるのかについて説明いたします。
無限に追求できるとすると、
30年前にもらった家のお金を払えと言われてしまう可能性があります。
これは、原則死亡の1年以内にされた贈与が対象になります💡
相続人に対する贈与は特殊で、死亡の10年内まで期間が延びます。
相続人に対する贈与は「相続分の前渡し」の性質があるため、期間が長いんです。
📌まとめ
いかがでしたでしょうか。
遺留分という制度はちょっとややこしいので、
そういう制度があるということをまずは理解いただき、
具体的な手続きについては、法律の専門家に頼るのが良いでしょう💡
相続は一般的にもめごとになる可能性が高いため、
そのようなケースに巻き込まれた場合、まずは制度を理解した上で、
感情を刺激しないような温和な進め方をするのがよいのではないでしょうか。