ビートラック行政書士事務所 水谷です!
今回は、お身内の方がお亡くなりになられた場合の遺産分け、
いわゆる「遺産相続」についてご説明していきたいと思います。
📝こんな人におススメ
- 遺産分けの方法がわからない
- 相続が発生するとどういった法的手続きが生じるか知りたい
- 法的手続きを誰にお願いすればいいかわからない
📌お身内が亡くなられるということは、法的にはどういうことなのか?
🔖法的効果
残念ながらお身内の方がなくなられてしまった場合、
法的にはどのような状態になるのでしょうか。
民法に規定があります。
民法882条
相続は、死亡によって開始する
つまり、人が亡くなると「相続」が発生します。
では相続とは何なのでしょうか。
🔖相続とは何か?
相続は包括承継といい、お亡くなりになられた方(被相続人といいます)の
権利義務の一切を相続人(配偶者、子など)が引き継ぎます。
権利義務とは、その名の通り、権利と義務ですので、
例えば、銀行預金(銀行に対する「お金を返してくれー」という請求権(権利))や、
借金返済の義務などです。
権利義務の「一切」と言いましたが、実は例外があります。
一身専属権(その人固有の権利)は相続しません。
例えば「俺の腹に絵を描いてもらう権利」などです。
このように、被相続人が有していた権利義務を、相続人が「自動的に」相続するのです。
「自動的に」というのは、「特に反対の意思表示をしなければ」ということです。
どういうことなのでしょうか。
コラム 包括承継・特定承継
包括承継は「全部」という意味です。
対立概念として「特定承継」というものがあります。
特定承継とは「個別の権利義務」を承継するということです。
法的な定義は難しいのですが、実社会の多くは特定承継です。
代表例は、売買です。
ボールペンを売ったとします。
その場合に移転する権利は「そのボールペンの所有権」です。
お住いの豪邸や、かえって食べようと思っていたケーキの所有権が、一緒に移るわけではありません。
包括承継の場合、「死亡」を契機に、ボールペン・豪邸・ケーキの所有権が、一気に相続人に移ります。
なお、相続以外の包括承継の例は「合併」です。
A銀行とB銀行が合併した、などニュースになることがありますが、
Bが生き残る側とすると、Aの権利義務の全部がB銀行に引き継がれることとなります。
ですので、A銀行にお金を預けている場合、無くなったりせず、B銀行から引き出せることになります。
📌莫大な借金も相続しなければいけないのか?
🔖格差の遺伝は良くないこと
残念ながらお父様が多額の借金を負って、そのままお亡くなりになられた場合、
奥さん・子供さんがいらっしゃれば、それらの方が相続することとなります。
前述の通り義務も相続しますので、
「貸した金返せー」と借金取りに言われると、手分けをして返す必要が生じます。
先ほど「自動的に」相続は生じる旨記載しました。
これでよいのでしょうか。
1万円の借金ならともかく、100億円だったら、何世代経れば返せるのでしょうか。
この点、民法にしっかりと規定があります。
民法915条
相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3箇月以内に、
相続について、単純もしくは限定の承認又は放棄をしなければならない
民法は格差の遺伝を好ましくないと考えています。
もう少し背景に踏み込むとすると、
民法は、親であろうと親友であろうと、双子であろうと、
「別の人である」という考えをベースにしています。
先の例でいうと、借金を負ったのは親であって、奥さんや子どもではありません。
その意味では、相続は特殊なんです。
別の人であるにも関わらず、
勝手に権利義務が移ってくる(被相続人=相続人状態)わけですから。
こういった事情があるので、原則一切合切引き継ぐけど、拒否もできる、ということになります。
🔖拒否はどうすればできる?
民法915条の規定に従って、相続放棄をします。
家庭裁判所へ「相続放棄します」と申述することで、相続財産を引き継ぐことを拒否できます。
注意点は、「全く相続できなくなる」点です。
借金だけいりません、というわけにはいきません。
1億円の借金も、思い入れのある1億円の豪邸も承継しません。
相続に関しては、初めから全く無関係であった状態になります。
コラム 限定承認
上記の、「まったく相続できなくなる」にも実は例外があります。
限定承認と呼ばれる手続きです。
これは、好きに相続財産を選べるわけではないのですが、
全財産を並べてプラスマイナスを計算し、余りのプラス財産があれば相続できるという仕組みです。
手続きは少々面倒ですが、この仕組みを使えば借金を負うことはありません。
📌遺産分けの手順は?
🔖遺産分けのルール
では、具体的な遺産分けはどのように進めていけばよいのでしょうか。
遺産分けには大事なルールがあります。
それは、遺産分けは相続人全員で行う必要があるということです。
この時に作成する書類は、遺産分割協議書です。
さて、相続人は誰なのでしょうか。
🔖相続人の確定
相続人は、「いつ亡くなったか」×「亡くなった時に生きている人は誰か」で決定されます。
そして、戸籍謄本を取得して調査・証明します。
相続人には順位があります。
例えばお父様がお亡くなりになられた際に、奥さんとお子さんが存命であれば、
他に、お父様の父、兄弟がいても、相続人は妻と子です。
子がすでにお亡くなりになられている、初めからいない場合は、
妻とお父様の父・母が相続人になります。
実際は、もっと複雑な状況も珍しくなく、
我々専門家が戸籍謄本を集めながら相続人を確定していくのです。
もちろん、専門家に頼まずとも対処してOKなのですが、
実際問題として、かなり難しいと思います。
🔖財産の調査
同時並行で財産の調査も必要です。
わかりきっていれば不要かもしれませんが、
財産がわからないと分けようがないですし、
マイナス財産があったら、相続放棄も検討しなければなりません。
固定資産税評価証明書や不動産の履歴事項証明書などを取得して明らかにしていきます。
🔖権利の移転と税金対策など
このようにして、誰にどの財産を承継させるか決めた後は、
権利移転の手続きを行います。
自動車の名義変更や、預貯金解約、相続税の支払いなども行います。
不動産の権利移転は司法書士、相続税関連は税理士の専権です。
これらの手続きもご自身で可能ですが、やはり難易度はかなり高いです。
コラム 遺言書
遺言書という言葉を聞いたことがある方も多いと思います。
遺言とは何でしょうか。
これは故人の最後の意思表示です。
通常、遺言が無いと、これまで述べたように遺産分けをする必要があります。
不動産は長男、預貯金は次男、といった形です。
ですが、遺言書に、不動産は次男、預貯金は妻と長男で折半と書かれて入れば、
その通りにしか権利が手に入りません。
遺言は決してネガティブな行為ではありません。
というのも、相続というのはこの世で数少ない不労所得なので、
もめ事になり易いんです。。
相続人ではない部外者(親戚のおばさんとか、おじいちゃんとか色々です)が
口をはさんでくることも多々あります。
こうしたことがあると、それまで仲が良かった家族関係が、
大切な人の死を契機に一気に崩れかねません。
こういったことを防ぐために、遺言を活用するというのがセオリーになります。
📌行政書士など専門家の活用
大切な人がお亡くなりになられて、気持ちの整理もつかないままバタバタとしている中で、
このような難解な相続手続きを個人で行うのは至難の業です。
落ち着いてから行うにしても、
相続放棄などは3箇月という縛りもあります。
そういうときのために、我々専門家は存在します。
費用はかかりますが、ご検討されるメリットはあると言えるでしょう。
弊所は相続業務を得意としています。
各種士業との連携体制も整っていますので、
まずはお気軽にご相談ください💡